ART PIECE
REVIVE
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複数の時間軸
1着の服の中に、複数の時間軸を宿らせることは可能か?
時を経たものだけが持つ奥行きを、
真新しい服で再現することはできるか?
たどり着いた答えは、古着を使った、真っ白なシャツでした。
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身体の記憶
一度、誰かの手に渡ったものには、
その人にしか出せない傷やダメージが生まれます。
それは新品にはなく、
意図して再現することのできない大きな価値です。
過去に手を通した人の、身体の記憶。
それらを生かしながら
新しい服として再構築する術を探りました。
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「リペア」という価値の再生産
古着のデニムはそれだけではダメージが大きく、
私たちが理想とする美しさを保つことができません。
そこで、何度も丹念に洗浄し、
ボタンホールやドットボタンの加工部分は
丁寧に糸を重ね、リペアを施していきました。
その後、アタリやダメージの美しい部分だけを
選定してつなぎ合わせました。
1枚の服のなかに共存する、複数の歴史。
傷みや古さに価値を見出されたデニムは、
気の遠くなるような細かな手作業を経て、
再び息を吹き返します。
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ものとして、美しい佇まい
手に取った時に愛着の湧くものであってほしい、
長く着られるものであってほしい、
着用していない時も美しくあってほしい。
そんな想いで、裏側も丁寧に補強しています。
機能としては、ここまでやる必要はないかもしれない。
それでも、妥協できない部分に美しさは宿ると信じています。
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服は人の手でつくるもの
人の手から生まれているかぎり、
同じ服であっても、その表情はそれぞれに異なるもの。
大量生産のためには、その差は最小限に留めなくてはなりませんが、
1点ものなら個性を最大限に発揮することができます。
そんな背景から、今回のARTPIECEを発表します。
どうぞ、今回だけの表情を楽しんでください。
MONTHLYコレクションでは、
別デザインのデニムシャツのオーダーを受け付けています。