ART PIECE
GAUGUIN’S CHAIR
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絵を描くように服をつくる
約1年前。
再現できない服をつくる試みとして、ARTPIECEをスタートしました。
本作は、前作「VAN GOGH'S CHAIR」に続いて制作したものです。
ゴッホがゴーギャンのために用意した肘掛け椅子がモチーフになっています。
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デッサンするように糸を操る
今回も生地をキャンバスに見立て、
ステッチによって木目や色の濃淡を描きました。
制作の過程でモチーフは糸の厚みによって盛り上がり、
生地は糸に引っ張られて収縮し、立体感が生まれます。
何も描かれていない部分にさえ、シワと表情が生まれるのです。
そこには、何万回も糸を打ち込んだ、
気の遠くなるような手仕事の痕跡が感じられます。
「シャツ」というフォーマットゆえに、
キャンバスの真ん中には、前開きのため必ず1本の線が入ります。
前立ての裏側にも絵が続いていますが、それを見られるのは着用者のみ。
誰かのためではない、自分自身のための1着なのです。
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一点物たる所以
既製品の枠組みでは実現し得ないものは、
1点物のARTPIECEとして命を吹き込み、
今度は逆にARTPIECEの手法やバランスを複製可能な既製品に落とし込む。
TROPOPAUSEのものづくりは、両者の相乗効果によって生まれています。
AETPIECEほどの細かな仕事は、同じ素材、同じ型紙を使っていても、
生地の方向やステッチがわずかにずれるだけで完成形が変化してしまうため、
同じものを複製することはできません。
その時、その場に生まれた軌跡が、1枚の服となるのです。
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服における強度とはなにか
椅子のためのステッチは、機能的な意味を持ちません。
しかし、圧倒的な仕事量によって生まれる力を、私たちは知っています。
一見すると無駄に思われるような膨大な時間が、
プロダクトとしての強度を生むことは疑いようのない事実です。
しかし、膨大な時間と労力がかかるゆえに量産が難しいのもまた真実です。
服だって、一期一会。
アートピースを飾るように、世界に1着だけの服を纏うことの楽しさを
感じていただけたらと思います
[Unisex] GAUGUIN’S CHAIR
¥176,000 (tax in)